先週末に友人と話をしていたときのことである。そのときに筆者が着けていたサブマリーナー(Ref.5513)の話題になったときに、ちょっとベゼルを動かした瞬間「あれ、右回転はできないようになっているんじゃないの」と言われた。
その友人は時計の愛好家ではないものの、時計は複数所有しているしそれなりに知識はある。しかし、サブマリーナーの回転ベゼルに当初は逆回転防止機能が装備されてなかったことを知らなかったのである。ということでテーマ的にはちょっと時期外れの感はあるが今回はこの話題について取り上げる。
まず、この回転ベゼルについて、あまりご存じない方のために簡単に説明したい。サブマリーナーのようなダイバーズウオッチの場合は、現在は高い防水性能だけでなくほかにも満たさなければならない様々な必須項目が工業規格などによって定められている。その項目のひとつに目盛が付いており、かつ逆回転防止機能がついた回転ベゼルを装備することが定められているのだ。
1979年頃に登場したデイト表示付きサブマリーナーの第2世代、Ref.16800。このレファレンスからベゼルに逆回転防止機能が付いた。また、風防もサファイアクリスタルとなり防水能力も300mに引き上げられた。Cal.3035を搭載https://www.rasupakopi.com/rolex_z68.html
この逆回転とはベゼルが右回転できないようにすること。ダイバーズウオッチの回転ベゼルは経過時間を測定するために考案された。つまりどれだけ潜っているのか潜水時間(=酸素が残りどれだけもつか)を把握するためのものだ。潜水中にこのベゼルが誤って右回転してしまうと潜り始めた時間が実際よりも後になってしまい。潜水時間が短く表示されてしまう。それを防ぐために左にだけ回転できようにしているというわけだ。
そして本題だが、回転ベゼルが代名詞でもあるサブマリーナーには、当初からこの逆回転防止機能が付いていたわけではなかったのである。これが付いたのは実はサブマリーナー誕生から約26年後の1979年頃に登場し、サファイアクリスタル風防が初めて採用されたサブマリーナーデイト、Ref.16800からだったのだ。アンティークのロレックスが好きな人は知っている方も多いと思うが、もうかれこれ42年も前から逆回転防止機能付きということを思えば、知らないという人の方が多いのにも納得である。