幾何学の基本的な図形である四角と丸を絶妙なセンスで組み合わせたベル&ロス「BR 05」に、クロノグラフが追加されたのは2020年。ダイヤルカラーはブルーとブラックの2種類だったが、2021年末にホワイトダイヤルの「BR 05 クロノ ホワイト ホーク」がリリースされた。シルバーダイヤルに微細な粒子状のホワイトオパーリン仕上げを施しており、乱反射を抑制した乳白色が上品で美しい。ステンレス・スチールのメタリックシルバーに包まれたクロノグラフとホワイトダイヤルとの相性は、意外にもインパクトが強く、清新な若々しさを感じさせる。
このカラーリングは航空業界へのオマージュであり、直接的には「ファルコン」と呼ばれるチャーター用のビジネスジェットから着想を得たという。機体はホワイトで、サイドには鮮やかなレッドのラインが流れるように描かれている。「BR 05 クロノ ホワイト ホーク」もクロノグラフ関連の2本の針はレッド。ハイコントラストによる視認性はもちろんだが、ともすれば静謐に見える乳白色のダイヤルに躍動感と活気を与えている。
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航空業界にオマージュを捧げる意味で「ホワイト ホーク」と命名。背後のジェット機は着想源となったフランス・ダッソー社の「ファルコン 8X」。3発のエンジンを尾翼付近に搭載した、乗客定員19名のビジネスジェットであり、ホワイトのボディに流れるようなレッドのラインが印象的だ。
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「BR 05」はスーツにフィットするモデルとして2019年に誕生
「BR 05」ベル&ロスコピー品は、航空機の計器盤を切り取ってそのまま時計にしたような「BR 01」をルーツとしているが、空と海で活躍するスポーツモデルから一転して、高層ビルが建ち並ぶ大都会で活躍する人たちのための「時を刻む計器」をコンセプトとして2019年に誕生した。ケースの四隅を流麗な曲線で造形。ていねいに面取りするだけでなく、金属の質感を強調するサテンと、輝きを放つポリッシュで磨き分けるなど、スーツの袖口にもフィットする高級感を備えている。2020年に追加されたクロノグラフも、それまでの3針スタイルを崩さない2つ目のヴィンテージテイスト。30分積算計とスモールセコンドのサブダイヤルはベゼルの形状に合わせており、フレームには同心円状の筋模様を刻んだスネイル装飾も施されている。
https://www.supakopitokei.com/bellross_copy193.html
ケースバックのサファイアクリスタルには「ホワイト ホーク」の勇壮な顔が描かれる。ムーブメントは自動巻き「BR-CAL.301」。パワーリザーブは約40時間。
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大都会で活躍するジェットセッターをイメージ
とはいっても、ベゼルには4本のビスがねじ込まれており、角型のリューズガードもビス留め。硬派な“計器感”も濃厚に残されていることが独特の魅力といっていいだろう。ルーツである「BR 01」から始まったコレクションは、パイロットウォッチやダイバーズなど多彩なバリエーションを展開してきたが、「BR 05 クロノ ホワイト ホーク」は航空機にインスパイアされたといっても、都会派から再び空に戻ったわけではない。パイロットではなく、ブリーフケースを片手にプライベートジェットを利用する乗客の腕に寄り添うクロノグラフとして、ホワイトダイヤルが選ばれたのである。大空と海から大都会に降り立ち、ビジネスで世界を飛び回るジェットセッターへ。「BR」シリーズは、長い時間をかけて壮大な物語を紡いできたように思われる。